- はじめに
- ザ・シチズン Caliber シリーズとは
- ザ・シチズン Caliber 0210(2023年新作)の紹介
- Caliber 0210 に対する個人的な意見
- 今後のメカニカルCaliberシリーズに求められるもの
- おわりに
画像引用元:『The CITIZEN』 自社製新型ムーブメントCal.0210搭載 デイト表示付メカニカルモデルが登場| シチズン時計株式会社
はじめに
2023年6月13日、The CITIZENから、待望のメカニカルCaliberシリーズの新作「ザ・シチズン Caliber 0210(キャリバー0210)」が発表されました。自社ムーブメント Caliber 0210 を搭載したデイト表示モデルです。
発売は2023年冬の予定です。
画像引用元:『The CITIZEN』 自社製新型ムーブメントCal.0210搭載 デイト表示付メカニカルモデルが登場| シチズン時計株式会社
ザ・シチズン Caliber シリーズとは
ザ・シチズンはエコドライブ(光発電時計)で精度を高めることに注力していましたが、2021年8月26日、待望の本格「機械式」時計として、Caliber 0200を発売したのは記憶に新しいところです。
Caliber 0200については、私自身、発売前にサンプルをこの目で確かめ、その質感に感激し、予約を入れて発売当日に納品していただいた思い入れのある時計です。
購入の経緯や決め手は購入レビュー!ザシチズン メカニカル Caliber0200は傑作確定!青ダイヤル NC0200-81L を評価 - しろくま腕時計紹介店の記事をご覧ください。
実際に購入して使ってみて、今でも良い時計だと思っていますし、購入3か月レビュー(購入3ヶ月レビュー【ザシチズン】キャリバー0200 青ダイヤル - しろくま腕時計紹介店)、約2年レビュー(約2年使った感想 The CITIZENキャリバー0200のコスパは敵なし - しろくま腕時計紹介店)を執筆してその魅力を伝えてきたところです。
ザ・シチズン Caliber 0210(2023年新作)の紹介
基本スペック
機械式時計/自動巻き+手巻き/精度:平均日差ー3~+5秒/駆動時間:約60時間(最大巻上時)/振動数:28,800回/時/ケースサイズ:40.0mm(設計値)/ケース厚み:11.2mm(設計値)/サファイアガラス(クラリティ・コーティング)/10気圧防水/ステンレス/石数:26石/シースルーバック/価格88万円(税込)/特定店限定モデル
ダイヤル
画像引用元:『The CITIZEN』 自社製新型ムーブメントCal.0210搭載 デイト表示付メカニカルモデルが登場| シチズン時計株式会社
ブラック 商品番号 NC1000-51E
ホワイト 商品番号 NC1001-58A
の二色展開となっています。いずれも「電鋳手法」により凹凸が表現されたダイヤルで独特の印影が感じられます。
なお、Caliber 0200では同様にブラックがレギュラーモデルとして存在。ホワイトは限定ながらありました。他方、Caliber 0210では今のところブルーダイヤルはありません。
画像引用元:『The CITIZEN』 自社製新型ムーブメントCal.0210搭載 デイト表示付メカニカルモデルが登場| シチズン時計株式会社
機能面
Caliber 0200 日付表示なし(ノンデイト)
Caliber 0210 日付表示あり(デイト)
防水性
Caliber 0200 5気圧防水
Caliber 0210 10気圧防水
ケースサイズ
Caliber 0200とCaliber 0210は、いずれも40mm径です。
Caliber 0200は10.9mm厚だったのに対し、Caliber 0210は11.2mmと「0.3mm」厚くなっています。
デイト機能の付加または防水性能の向上が主な理由と思われます。
画像引用元:『The CITIZEN』 自社製新型ムーブメントCal.0210搭載 デイト表示付メカニカルモデルが登場| シチズン時計株式会社
価格
Caliber 0200 605,000円(税込)
Caliber 0210 880,000円(税込)
Caliber 0200の価格は、2023年6月15日時点では、発売時から据え置きの605,000円(税込)です。
これと単純比較すると、新作のCaliber 0210は275,000円高い金額となります。
Caliber 0210 に対する個人的な意見
さて、ここからは私の個人的な感想です。
初期モデルのCaliber 0200は、今後の展開に注目するに値する機械式時計だと思っていました。
2023年新作のCaliber 0210では、従来物足りなかった防水性(5気圧)が10気圧に改良されました。
しかし残念ながら、Caliber 0210は私が期待していた展開には進みませんでした。
日付表示という余計なアップデートとコスパの著しい低下
個人的な好みに過ぎない点を予め断っておきますが、私は、見た目も、機構的にも、よりシンプルなノンデイトの文字盤が好きです。
理由はいくつかあり、まず日付表示が3時位置にあることで文字盤のバランスが崩れます。日付機構が増えることに伴う故障リスクも増えます。また実用面でも、使用の都度、日付の調整が必要になる(操作禁止時間帯などを気にしなくてはいけなくなる。)というデメリットも生じます。ちなみに統計があるわけではありませんが、「日付表示は不要」という声はSNSを拝見していて一定数あります。一方「日付表示が必要」という声は、殊、愛好家の間からはあまり聞きませんね。
Caliber 0200が気に入っている理由の一つはノンデイトという点にありました。
Caliber 0210は日付表示が主な要因で、Caliber 0200から275,000円も価格が上乗せされています。
日付表示がどうしても欲しい人がいることは否定しませんが、そのユーザー目線で考えても日付表示に30万円近い差額を支払うでしょうか。
代わり映えしないダイヤルカラー
何でもスイス時計を真似ろという趣旨ではないことを予め断っておきますが、ロレックスの2020年新作OPを皮切りに、各ブランドは2023年現在もターコイズやグリーン、ピンクといったポップなダイヤルカラーを続々と投入しています。時計界の時流は明らかにカラーバリエーションの拡充にあり、新作と銘打って投入するなら、日付表示の有無ではなく、ダイヤルのカラーバリエーションをより充実させる方向であるべきでしょう。
Caliber 0210は初代のCaliber 0200から全く変わり映えしない、電気鋳造のブラック・ホワイトダイヤルの二色のみの展開となっています。いずれも素晴らしいダイヤルではありますが、待望の新作としては、どこか期待外れであることは否めません。
ブランディング・ネーミングセンスのなさ
お節介ながら、Caliber 0200のアイコン化のためにやらなければいけないことは、Caliber 0200という名称を、ザ・シチズンメカニカルの基幹モデルとして位置づけ、魅力あるモデルを投入し続け、その名称の知名度、評価を高めていくことですよね。
したがって、あくまでもモデルの総称は「Caliber 0200」で統一し、日付表示有はその内部の一種として整理したほうがいいと思います。
しかし、プレスリリースを拝読する限り、今回のモデル名は「Caliber 0210」となるのでしょう。
「Caliber 0200」自体、まだまだ認知度は無いか、限りなく低い名称です。
Caliber 0200という名称をブランドアイコンの一つに高めていくのであれば、「Caliber 0200」をもっと長い期間、じっくり時間をかけて使い続ける必要がありました(たとえるなら、ポルシェ911みたいな使い方)。
そのうちCaliber XXXがいくつも乱立して、訳が分からなくなるのではないかと危惧しています。本ブログでは次善策として「Caliberシリーズ」とモデル名の総称をネーミングしておきましたが、それはやはり違うんですよね。あくまでも「Caliber 0200」という総称でいくべきだった。2023年冬までまだ時間がありますから、今からでも再考を求めたいところです。
今後の展開も見据えて、ラインナップをユーザー目線で分かりやすく理解できるものとする必要があると思います。
今後のメカニカルCaliberシリーズに求められるもの
今回のCaliber 0210が新作だと大手を振って主張されても、所詮デイトの有無だけの変化ですから、違和感があります。余計なデイト機能を付加して、定価の引き上げを図ったと見られても仕方ないでしょう。
それはさておき、今後のCaliberシリーズに期待したいのは、①ダイヤルのカラーバリエーションの充実、②ブレスレットのつくりこみ、の二点です。
ダイヤルのカラーバリエーションは、より多くの潜在的なファンの獲得に必ず繋がります。Caliberの新作として、たとえばターコイズカラーが採用されていれば、まったく注目度も違ったものとなっていたでしょう。Caliberシリーズ自体は魅力的な時計なので、それを更に広く訴求すべく、時流をうまく利用することが必要です。
ブレスレットに関しては、初代Caliber0200のベースをもとに、鏡面を増やす、やや薄っぺらいか中空っぽく感じるスチールを中までしっかり詰め込み、もう少し重量感と厚み、仕上げの高級感を出す。といった改良があればいいですね。
その他、細かい改善点はいくつかあります。もしシチズンの方が本ブログをご覧いただいていれば、是非ご連絡ください(笑)
おわりに
以上、2023年新作 ザ・シチズン Caliber 0210について、私なりの評価を記してみました。やや厳しい評価も記したかと思いますが、Caliber0200が好きだからこそ、もっと良くなってほしい、できるはずだという気持ちが根底にあるからこその、愛のムチであることはご理解ください。