はじめて機械式腕時計を買うとき、迷うポイントの一つは「日付機能」の有無だ。
高い買い物だ。
何となくではなく、自分なりにメリット、デメリットを整理したうえで選ぶべきだ。
たとえば、ロレックスの定番「サブマリーナー」で見てみよう。
ノンデイト
まずは日付がないもの(Ref.114060)。
デイト
日付があるもの(Ref.116610LN)。
では項目ごとに比較検討してみよう。
価格面
定価の違いを見ると、ノンデイトが83万2700円(税込)、デイトが94万3800円(税込)だから、約10万円の差がある。
並行店や中古店の実勢価格だともっと差が開いているようだ。
筆者個人的には、日付表示機能の有無でここまで価格差が開いているのは、どうも納得がいかない。
維持コスト面
機械式腕時計は維持する費用がかかる。
維持コストのメインは4年に1回くらい行うべきオーバーホールの費用だ。
一般に時計は複雑になるほどオーバーホールの費用がかかる。
サブマリーナーでも基本料金はデイトありの方が若干高い。
もし日付機能が壊れていたら、その修理代もかかる。
維持コスト面を重視すればノンデイトが正解だ。
サイズ、スペック面
大きさ40mm、300m防水、パワーリザーブ48時間、C.O.S.C.認定の精度は、日付の有無にかかわらず共通だ。
デザイン面
日付表示が入るとデザインのゴチャゴチャ感が高まるが、これをどう感じるかは人それぞれなので正解はない。
こだわり面(サブマリナーの場合)
サブマリナーは、ブランパンのフィフティファゾムスと並び、近代ダイバーズウオッチの元祖と評される歴史あるモデルだ。
日付表示なしのノンデイトが元祖サブマリナーのオリジナルモデルなので、ルーツを重視するならノンデイトが正解だ。
一方、日付をレンズで拡大する「サイクロップレンズ」は、見た目でロレックスと識別できる重要な特徴の一つだ。
より、見た目でロレックスと識別されたい人にはデイト表示ありが正解だ。
機能面
主に仕事で着用する場合で、書類に日付を入れることがしばしばある方は、腕元でチラッと日にちが確認できるデイトありが便利だ。筆者はこのタイプで、デイトありの時計の便利さを感じることが多い。
これについては「スマホで日にちが確認できる」という反論が聞こえてくる。
しかし、スマホをポケットから取り出して画面を確認する作業は案外手間だ。その動作自体が不格好にも感じられる。
瞬時に日付を書けないことに対して、中には「今日の日付も認識していないのか」と受け止める人もいるだろう。
手間
日付があるということは、その時計は昼夜を識別している。
同じ10時を指していたとしても、夜の10時か朝の10時かは一見分からない(GMT機能が付いている時計なら判別可能)。
機械式腕時計というものは、しばらく着けずに放置していたら止まる。
日付表示ありの場合は、日付が合っているか、昼夜の別は合っているか、時分が合っているかを確認しなければならない。
日付表示なしの場合は、時分だけ確認すれば良いので簡単だ。
面倒くさがりさんにはノンデイトが正解だ。
まとめ
日付ありなしいずれも予算内で、デザインの好みだけで甲乙つけがたいならば、
日付をスマホではなく腕元でさっと確認したいというニーズの強さ
止まった時計の日付を合わせる手間をどのくらい煩わしく感じるか
の二点を中心に検討すればよい。