機械式腕時計を買おうと探している方に向けて、当店が厳選した機械式腕時計をご紹介します。
今回は、以下の条件で考えます。
- 予算35万円
- シンプル×ドレス
- 端正なイメージ
- 知る人ぞ知るツウなブランド
ミューレ・グラスヒュッテ MÜHLE GLASHÜTTE
トイトニア Ⅳ ムーンフェイズ Teutonia IV Mondphase
ミューレ・グラスヒュッテは1896年創業、ドイツの老舗ブランドです。
ブランド名の「ミューレ」とは、グラスヒュッテ/ドイツで700年の歴史を持つ名家のファミリーネームです。
創業者はロベルト・ミューレで、A.ランゲの弟子であるモリッツ・グロスマンの工房で修業し、1869年に時計パーツ用精密計測機器などを製造する計測機器メーカーとしてスタートしました。
ミューレのメーター機器は精密で、BMWやDKW、マイバッハといった一流自動車メーカーや独軍でも採用されていました。
優れた技術を持っていたミューレは、東ドイツが共産主義の支配下にあった時も半官半民の私企業として存続することができた稀有な存在で、グラスヒュッテでは最も歴史がある私企業の一つとされています。
1995年からは、ギュンター・ブリュームライン(A.ランゲ&ゾーネ再興に貢献した人物)の勧めで時計製造にも乗り出し、「時計は計測機器である」という哲学のもと、高度な技術を活かして視認性、堅牢性、精密性に優れた時計をつくっています。
ミューレでは、基本的にETAやセリタという汎用ムーブメントを仕入れて搭載していますが、かなりの手間と技術を投下してから時計に搭載しています。
たとえば、「受け」「ブリッジ」「ローター」などの部品を自社製に変更するほか、緩急針も自社で特許を取得したウッドペッカー緩急針(スワンネック緩急針の一種)に変更します。
また、精度の調整に関しては、6姿勢で行うほか(一般メーカーでは通常5姿勢)、計測機器メーカーとしての考えで「遅れは許されない」という観点から日差0~+6秒で調整しています(ミューレ・ファイン・チューニング)。
ちなみに、C.O.S.C(スイスクロノメーター認定)では日差-4~+6秒が要件なので、それより随分厳しい調整を行っていることになります。
一言で要すれば、精密計測機メーカー時代からの哲学のもとで厳格に地道に時計づくりを行っているブランドといえます。
さて、ご紹介のモデルは「トイトニア」というラインナップから2019年に新発売された「トイトニアⅣ」です。
風防はサファイアクリスタル、ケースはSS(ステンレススチール)製、デイト表示とムーンフェイズ(同社として初)が備わっています。
ホワイトの文字盤にブルーの針、最高のコントラストです。
針は「アルファ針」(ギリシャ語で「1」の意)で、ドーフィン針に似ていますが、アルファ針では付け根が絞られているのが特徴です。
ムーンフェイズ、すなわち月が地球を一周するのに29日と12時間44分2.8秒かかる事実を踏まえて歯車の数や動きをを計算して、その日の空に出るであろう月の形を文字盤上で表す仕組みですが、これがまた良い感じにアクセントになっています。
ベゼルはポリッシュ(鏡面仕上げ)、側面はヘアライン(筋目加工)が施されており、高級感がアップします。
裏蓋はシースルーになっており、時計の中身(ムーブメント)を鑑賞することができます。
自動巻きローターに印字された「150」は創業150年を記念したもので、2019年発売モデルの限定仕様となります。
ムーブメントはセリタ製のSW280-1ベースですが、先ほど説明したとおり一定の部品は自社製に取り換えたうえで、ミューレ・ファイン・チューニングが行われていますので、耐久性や精度は上等と言えます。
パワーリザーブが38時間と短いのがネックですが、自動巻きということでお許しください。
防水は10気圧(100m)を備えていますので、素潜りに耐えられるレベルです。
大きさは41mmです。大きすぎはしないでしょう。
青系のファッションによく合うと思います。
(たとえばこんなイメージです↓)
ミューレ・グラスヒュッテを知っている人は時計に興味がある方でも少数かと思いますので、日本でブランドステータスを誇るようなブランドでもありませんが、知る人ぞ知るブランドで、着けていれば一目置かれること間違いなしです。
それにホワイト×ブルーのカラーリングは青系のファッションに合わせやすく、上品ながらかなり爽やかな印象を与えることができますので、おすすめです。