機械式腕時計を買おうと探している方に向けて、当店が厳選した機械式腕時計をご紹介します。
今回は、以下の条件で考えます。
- 予算70万円
- シンプル×ドレス
- やや大きめ
- とてもツウなブランド
チュチマ・グラスヒュッテ TUTIMA GLASHÜTTE
パトリア PATRIA
アドミラルブルー ADMIRAL BLUE
価格は69万8000円(税抜)
チュチマの前身となる時計工房は、ドイツ/グラスヒュッテで、1845年に設立されました。
第一次世界大戦により、グラスヒュッテ経済は大打撃を受け、ハイパーインフレに陥っていました。
そんな中、グラスヒュッテ時計産業においては、法律家ドクター・エルンスト・クルツ氏のリーダーシップのもとで、UROFA社(パーツ供給会社)とUFAG社(組立て会社)が統合され、UROFA/UFAG社が誕生しました。
ブランド名となっているTUTIMAとは、ラテン語で「安全性」を意味する「tutus」に由来しており、当時UROFA/UFAG社において製造されていた最高レベルの精度及び品質を有する時計に与えられていた称号でした。
UROFA/UFAG社は、ドイツ帝国空軍の依頼により、パイロットウオッチを開発し、TUTIMAグレード=最高品質の時計を納入していました。
これは1939年に製造されたUROFA社のCal.59というフライバック機構(ストップウオッチの計測時に、ゼロリセットと再スタートを瞬時に行うことができる仕組み)を備える高機能ムーブメントを搭載したクロノグラフウオッチです。
また、世界初の制式採用時計としても知られ、1945年までに約3万個製造されており、希少品としてコレクターズアイテムとなっています。
このように腕時計は第2次世界大戦当時の戦闘機パイロットの必需品でした。
第二次世界大戦で敗戦国となったドイツは、東西に分裂し、東にあったグラスヒュッテはソ連統治下に入りました。
この時ドクター・エルンスト・クルツ氏は、西ドイツに亡命して「クルツ社」を創設、1960年に後継者に譲り、ここでブランド名が「クルツ社」から「TUTIMA(チュチマ)」に変更され、時計づくりを続けました。
そして、チュチマの代表作の一つ「ミリタリークロノグラフ」は、1989年にNATO軍に制式採用されました。
そして2013年、いよいよチュチマは、時計工房の創業地であるグラスヒュッテに本社と製造設備の移転を完了し、帰郷を果たしました。
ここでブランド名が現在の「チュチマ・グラスヒュッテ TUTIMA GLASHÜTTE」となりました。
これを機に、ミリタリーウオッチの更なる改良や、グラスヒュッテ様式という伝統的な様式に従ったラインナップも展開し始めました。
今回ご紹介の「PATRIA」(パトリア)は、「ふるさと」という意味で、チュチマがグラスヒュッテに帰郷したことをよろこぶモデルです。
2013年にリリースされた当初は、ケースが18Kゴールド製(税抜179万4000円~)のみでの展開でした。
これはかなり良いのですが、ゴールド製のため価格はそれなりにします。
しかし、2019年7月に、待望のSS(ステンレススチール)製のモデルが新作発売されました。
前置きが長くなりました。
ご紹介のモデルは、パトリア・アドミラルブルーです。
ケースには鏡面仕上げが丁寧に施されています。
文字盤はブルーエナメル仕様です。
エナメル文字盤とは、金属板にガラス質の釉薬(ゆうやく)を焼き付けたもので、独特の光沢があります。
大きさは43mmとかなり大きめではありますが、全体的にシンプルな分、大きさで存在感を発揮してくれると思います(何のブランドか分からないが良い時計着けてるのではと気付かれやすいという意味で)。
裏蓋はシースルーとなっており、時計の中身(ムーブメント)を鑑賞することができます。
このモデルは手巻き時計です。
自動巻き時計では腕の振りでゼンマイを巻き上げるためのローターが中心部についているのが通常ですが、他方でムーブメントを一部覆ってしまいます(なお、自動巻き時計でも薄さの追求やムーブメント鑑賞を妨げないようにするためマイクロローターという小型ローターを採用しているものもあります)。
シースルーバックで、ムーブメントの鑑賞を最大に楽しむためには、ローターで邪魔されない手巻き時計が良いということになります。
ドイツ/グラスヒュッテで製造される時計で、グラスヒュッテ様式という方法がありますが、その最大の特徴は、ムーブメントの3/4を覆う一枚続きのプレートです。
これを「3/4プレート」といいます(1枚のプレートで部品を固定することで安定。他方でピンポイントでプレートを加工したりセットする必要があるので手間がかかる)。
50m防水と、防水性はふつうです(日常生活での汗とか多少水仕事する程度は耐えられる)が、パワーリザーブは65時間あり(最大にゼンマイを巻いたら少なくとも2日以上は動く)、実用性は問題ないと思います。
この動画↓をご覧いただければ、ケースの鏡面仕上げの美しさと、エナメル文字盤の独特の光沢が良く分かると思います。