はじめに
1965年、国産初のダイバーズウオッチがセイコーから誕生した。それは1966年から実際に南極観測隊の装備として用いられた。
リファレンス62MAS-010から「62MAS」と略称されているこの国産ファーストダイバーは、世界的にも大人気で、ダイバーズウオッチの傑作の一つと考えられる。
セイコーダイバーズの中毒性
セイコーは偉大な62MASをベースに頻繁に復刻モデルをリリースしている。
復刻版はレギュラーモデルもあるが、数量限定モデルも数多くある。価格も50万円以上の高価格帯から10万円程度ものまで幅広い。
手頃な価格帯でも、王道のダイバーズの型は守られており、デザイン面は完成されている。その上、スペックも優れている。
こうして、セイコーダイバーズ愛好家は、復刻モデルが出るたび「これは!」と気持ちを揺さぶられ、何回か飲みに行くのをやめれば買える等と色々な理由を付けて購入してしまう。
筆者は今のところ3本で収まっているが、毎年一本ずつ増えていくのだろうか。
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ブラックシリーズ(限定版)
さて、2022年3月11日、それは発売された。
ブラックシリーズだ。
SBDC153(限定5500本、うち国内500本)
SBDC155(限定5500本、うち国内300本)
SBDC157(限定5500本、うち国内300本)
コンセプトはナイトダイビング。
夜の神秘的な海をイメージしたブラックカラーケースに、暗い海中を照らすライトの光をイメージしたオレンジカラーが差し色に使われている。
コンセプトがデザインに見事に具現化されている。
ナイトダイビングとは生涯無縁であろう筆者の心にも強く響いた。
王道の型の中で、少しひねりが効いている。こんな時計が好きなのかもしれない。
なお、既に2020年にナイトダイビングをテーマにしたブラックシリーズは出ていたが、それは無骨な黒時計だった。
レビュー
開封動画
恒例の開封動画をYouTubeにアップしておいた。
ダイヤル・文字盤
ダイヤル表面にはサンレイなどの光を反射させる仕上げはされていない。ルーペで拡大してみると表面は少しザラついていた。暗闇に近い黒が表現できているのではないか。
バーインデックスの夜行塗料はアイボリーに近い色に見える。
ダイヤルは黒、文字は白、インデックスはアイボリーで、すっきりシンプルにまとめられている。
分針の夜行塗料はコンセプトに基づいたオレンジ色だ。
ダイヤル全体がモノトーンでシンプルにまとまっている分、このオレンジが効果的なアクセントになっている。
分針は暗闇でオレンジ色に発光するのがかわいい。
ベゼル・ケース
ケースは従来のSBDCシリーズと同様のつくり。
見どころは0〜15分の目盛りに差したオレンジ色。
時計全体の印象を遊び心あふれるものにしている。
そして、ケースバックには嬉しいシリアルナンバー(●/5500)が入っている。
自分の時計が世界に一つだけだという特別感を得られるから、嬉しい。一つ一つにシリアルナンバーを入れるのはコストがかかると思うが、今後も是非続けて欲しい。
ストラップ
ストラップは、ファブリックストラップと、ラバーストラップの二つが同梱されている。
ファブリックストラップは、製紐(せいちゅう)という伝統技法で編み上げられている。実物は丈夫でしっかりしていて、過酷な使用にも十分耐えられそうだ。質感はやや硬め。割と厚め。色はチョコレートのような茶色に見える。
ラバーストラップの方は、黒一色でシンプル。ただ、シリコンの質感が硬めで、触り心地も含め、個人的にはしっくりこなかった。
筆者は予約段階から、このブラックシリーズには発色の良いオレンジのラバーストラップがベストだと踏んでいた。
そこで、時計よりも先に社外製ラバーストラップを買い、首を長くして納品を待っていた。納品後すぐにラバーストラップ(オレンジ色)に付け替えたのは言うまでもない。
尾錠部分と通し穴は、純正の付属ラバーストラップから取り外して、社外製ストラップに取り付けた。
オレンジのラバーストラップは、狙いどおり、本作に完璧にマッチした。
純正の付属ストラップはどちらも無骨な印象で、それはそれで良さがある。
しかし、鮮やかなストラップと合わせてみれば、また違った魅力を引き出すことができるかもしれない。
装着感
ステンレススチールにはブラックの硬質コーティングが施されている。
ピュアなステンレスは滑らかな触り心地だが、コーティングされているため肌滑りが良くない。もっとも、使用時に気になるほどではない。
ブラックコーティングが剥がれてしまう可能性があるため、ナイトダイビング等、傷がつきやすいハードな活動では使わないほうがいいだろう。
おわりに
正統派ダイバーズの型を守りつつ、鮮やかなオレンジを差し色に取り入れた。ナイトダイビングというコンセプトを見事に表現した時計だ。
見て楽しい、着けて楽しい、そんな時計に仕上がっている。
これは買ってよかった。