(時計屋という聖地へ 一本を求め 次の一本を求め さまよう
しろくま腕時計紹介店の 時計屋放浪記 ~♪)
- はじめに~「チェリーニ」?
- ①チェリーニ タイム ホワイトダイヤル Ref.50505
- ②チェリーニ ムーンフェイズ Ref.50535
- ③チェリーニ デュアルタイム ブラウンダイヤル Ref.50525
- さいごに
はじめに~「チェリーニ」?
ロレックスのプロフェッショナルモデル(デイトナやサブマリーナー等)は、圧倒的な需要があるため、正規店のショーケースに並ぶことはない。
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そんな中、いつ正規店に行っても陳列されているのが「チェリーニ」。
そう聴くと興味を無くすかもしれないが、世間の需要に惑わされずに欲しい時計を買いたいものだ。
チェリーニという名称の由来は、ルネサンス期のイタリア人芸術家、ベンベヌト・チェリーニの名。ロレックスのラインナップで人の名前に由来した名称を持つのはこの一本だけ。
ロレックスが欲しいな、でもプロフェッショナルモデルは在庫がない、、、ここで店員から代替候補として勧められるのは「デイトジャスト」。デイトジャストは間違いなくロレックスのアイコンだからだ。
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ロレックスのドレスウオッチが欲しい場合には、デイトジャストかチェリーニが候補になる。
両者の棲み分けはどうなっているか。ロレックス公式HPにおいて、デイトジャストは「クラシックウォッチの典型」とされ、チェリーニは「伝統的なタイムピースの不変のエレガンスに現代的なタッチを加えた」ものとされている。
「チェリーニってどうですかね?」と店員に聴くと、だいたい「ロレックスらしからぬ時計ですが、大変美しい時計です」と返ってくる。「私は好きです」と答える店員もチラホラ(普段からオイスターケースを嫌ほど見ているから?)。
大雑把には、「ロレックスらしい時計」を求めるならデイトジャスト、「ロレックスらしからぬ時計」を求めるならチェリーニとなる。
①チェリーニ タイム ホワイトダイヤル Ref.50505
基本スペック(ロレックス公式HPより)
直径 39 mm
18 ct エバーローズゴールド
ダブルベゼル(ドーム、フルーテッド)
50m/165フィート防水
パーペチュアル、機械式、自動巻
キャリバー 3132、ロレックスによる完全自社製造
日差 - 2 ~ + 2 秒(ケーシング後)
パワーリザーブ 約 48 時間
価格 160万9300円(税込)
チェリーニ・タイムは、三針ノンデイトのシンプルなつくり。
ロレックスというブランドで見るからバイアスがかかるが、客観的にはチェリーニ・タイムは普遍的かつクラシカルなドレスウオッチの一つだ。
「ROLEX」の王冠マークはゴールド製で、「ROLEX GENEVE」の表記には特別感がある。
さて、センターセコンドのドレスウオッチの場合、分・秒針はアワーインデックスの端(文字盤の外周付近)まで伸びているものが多い。
一方、チェリーニ・タイムの分・秒針は、バーインデックスの中間までしか伸びていない。この点はドレスウオッチの針の長さにこだわる人にとって無視できない問題となるかもしれない。
ここでは「凝縮感」がキーワードになってくる。
間延びがない文字盤。「凝縮感」のある時計を作る工夫としては、針を太くしたり長くしたり、インデックスを大きくしたり(バーインデックスなら太く長くしたり)、スモールセコンドや日付を入れたり、といったアプローチが考えられる。
たとえばヴァシュロンコンスタンタン(VC)のトラディショナル(38mm径)を例に見てみよう。
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①太く長い時分針、②太く長いバーインデックス、③6時位置のスモールセコンド、④文字盤外周のレイルウェイトラックといった要素の効果で文字盤に凝縮感が生まれている。
では、チェリーニ・タイム(39mm径)はどうか。
バーインデックスは中間辺りで一回切れている。そこに分目盛りが走り、5分刻みでアラビア数字が入っている。分目盛りを挟んで、文字盤中心に向かってバーインデックスが更に配置されている。バーが二本連なっているので「ダブルバーインデックス」とでも表現しておこう。
そして、ケースにも注目したい。「ダブルベゼル」つまりドームとフルーテッドの二重構造のベゼルが採用されている(斜めから撮影した二枚目の写真が分かり易い)。
以上のとおり、チェリーニ・タイムは、ダブルバーインデックス+ダブルベゼルという大胆なデザインによって、センターセコンドの極めてシンプルな三針時計であるにもかかわらず、非常に凝縮感のあるドレスウオッチとなっているわけだ。
針が短いという短絡的な理由でチェリーニをスルーしていた人は、今一度、針の長さが文字盤の中でもつ意味を再考すべきである。
②チェリーニ ムーンフェイズ Ref.50535
基本スペック(ロレックス公式HPより)
直径 39 mm
18 ct エバーローズゴールド
ダブルベゼル(ドーム、フルーテッド)
50m/165フィート防水
パーペチュアル、機械式、自動巻
キャリバー 3195、ロレックスによる完全自社製造
日差 - 2 ~ + 2 秒(ケーシング後)
パワーリザーブ 約 48 時間
6時位置にムーンフェイズ。センター針による日付表示
価格 283万0300円(税込)
次に、チェリーニに「ムーンフェイズ」機能とデイト機能が付いたチェリーニ・ムーンフェイズを見てみよう。
ロレックスの現行ラインナップの中で、ムーンフェイズがあるのはこの一本だけだ。と聴くと、かなり特別感のあるモデルと思うのではないか。
チェリーニ・タイムのホワイトダイヤルもシンプルで良いが、こちらのチェリーニ・ムーンフェイズの方は、ホワイトラッカーで仕上げられている。艶が全然違う。
ムーンフェイズのディスクはブルーエナメルで仕上げられている。素晴らしい艶。
ムーンの部分はメテオライト(宇宙から地球に飛来した隕石)で作られている。ブルーエナメルの空との見事なコンビネーション。
hands-on
39mm径ということで収まりも最高。
ダブルバーインデックス+ダブルベゼルのほか、ムーンフェイズ、文字盤外周のアラビア数字(日付)、デイト表示の針が更に加わったことで、凝縮感が更に凄いことになっている。
このムーンフェイズは122年間誤差が生じない。
このアングルでダブルベゼルという意味が分かるはず。
ここまでの時計で300万円を切っており、コスパも良い。
③チェリーニ デュアルタイム ブラウンダイヤル Ref.50525
基本スペック(ロレックス公式HPより)
直径 39 mm
18 ct エバーローズゴールド
ダブルベゼル(ドーム、フルーテッド)
50m/165フィート防水
パーペチュアル、機械式、自動巻
キャリバー 3180、ロレックスによる完全自社製造
日差 - 2 ~ + 2 秒(ケーシング後)
パワーリザーブ 約 48 時間
中央に時針、分針、秒針。6時位置にデイ/ ナイト表示付きセカンドタイムゾーン
価格 205万3700円(税込)
最後に紹介するのがこちらチェリーニ・デュアルタイム。
実は、チェリーニを色々と試着してきた中で、筆者が最も興味を持った一本だ。
惹かれた理由はこの「ブラウンダイヤル」だ。
まず、エバーローズゴールドのケースとブラウンダイヤルの相性が抜群であること。
そして、何と言っても、文字盤中心から放射状に施されたギョシエ装飾による反射。これが素晴らしい。保護フィルムが巻かれているが、その写真でも十分伝わるとおもう。YouTubeに反射の様子をアップしておいた。
【ROLEX CELLINI DUAL TIME Everose gold Ref 50525】ロレックスチェリーニデュアルタイム
視認性は若干低いが、そんなことよりも、エバーローズゴールドXギョシエブラウンダイヤルの組み合わせが実に素晴らしい。
6時位置のインダイヤルはスモールセコンドではなく、デュアルタイムであり、別のタイムゾーンの時刻を表示できる機能である。
これは、ともかく良かった。筆者の欲しい時計リストに入った。
さいごに
チェリーニは以上に紹介したもの以外にも種類がある。正規店に行けば必ず置いてあるので一度は手に取って見た方がよい。
チェリーニはプロフェッショナルモデルやデイトジャストなど需要が高いモデルに隠れてしまっているが、クラシカルなドレスウオッチを探しているなら候補の一つに入れてほしい。