(時計屋という聖地へ 一本を求め 次の一本を求め さまよう
しろくま腕時計紹介店の 時計屋放浪記 ~♪)
基本スペック(ショパール公式HPより抜粋)
ステンレススティール
文字盤:
電気メッキ処理によるネイビーブルーカラー
手作業によるヴァーティカル・サテン仕上げ
ゴールドプレートのアラビア数字とインデックス
ストラップ:
ブラウン アリゲータ (革)(マット スクエア)を色調を合わせたハンドステッチ、ライニング : ブラウンアリゲータ
ブルーファブリック (マット) を色調を合わせたハンドステッチ、ライニング : ブラウンアリゲータ
サファイアクリスタルのシースルー
ムーブメント:L.U.C 96.53-L 機械式自動巻きムーブメント
振動数:4 Hz(振動数 毎時28,800回)
石数:27
パワーリザーブ:58時間
防水:30m
価格 111万1000円(税込)
拙稿「【ショパール】Chopard L.U.C XP Ref.168592-3002 - しろくま腕時計紹介店」でも取り上げた時計。
先日ブティックで現物を発見し、試着させてもらった。
勿論素晴らしい時計だというのは分かっていたが、実物をhands-onして分かった。
これは、、、イイ
最も素晴らしく感じるのはこのダイヤル。サテン仕上げが入った「ネイビーブルー」のダイヤル。光沢があって、光の反射の仕方もたいへん美しい。光を当てながら角度を変えて見れば明るいブルーと暗いブルーの見事なグラデーションを楽しむことができる。
また、時分針並びにバーインデックス及び3・6・9・12のアラビアンインデックスはいずれも立体的で美しい。ブルーとゴールドのコンビネーションも見事。
我ながら、ナイスショット!この文字盤の良さが伝わる素晴らしい写真。この青とゴールド。この青のグラデーション。ストラップのファブリック素材の質感もGood。
さて、この時計のコンセプトを改めて確認してみよう。
現代のジェントルマンに捧げるL.U.C XPは、シーアイランド・コットンシャツとエンシェント・マダーのネクタイを合わせたブルーカシミアのフランネルスーツをイメージし、美的センスを宿した男性のモダンクラシックスタイルを追求しています。(ショパール公式HPより抜粋)
「モダンクラシックスタイル」、、、つまり、単なるクラシックスタイルではない。伝統的なスタイルに「少しばかり」洒落を効かせている点がこの時計のミソと言える。「少しばかり」というのがいい。やり過ぎるとボヤけて訳がわからない時計になってしまうのだ。
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ところで、お洒落は時計だけでは決まらない。この点、ご丁寧にもショパール公式HPにどんなファッションと合わせるのが正解か書いてくれている。これはたいへん素晴らしい取り組みだ。というのも、筆者は時計をあくまでもファッションの一部と位置付けており、その時計がトータルコーディネートの中で果たす役割を重視して選ぶべきであると考えている。ブランドが公式意見としてファッションとの組み合わせ方を説いているのは実に参考になるというわけだ。
では、順に見て行こう。
まず、「シーアイランド・コットンシャツ」、、、これ
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シーアイランドコットンは「繊維の宝石」と称され世界中で人気があるらしい。
カリブ海の一部の地域でのみ生産されているとのこと(ちなみに上に紹介しているシャツは「アメリカン~」と付いているとおり、本家本元ではなく、アメリカで栽培されている。ふるさと納税で買えるのは嬉しい)。シーアイランドコットン、、、響きが既にカッコいいのだが。筆者がL.U.C XP青と合わせるならば、上に紹介したようなブルーのシーアイランド・コットンシャツをチョイスする。
次に「エンシェント・マダーのネクタイ」、、、な、何だそれは。
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よく分からないが、現在は廃れてしまった伝統技術で作られる柄のようである。
英国に古来から伝わるこの技法は草木染めの一種で、天然染料を用いて手作業により染色を行うもの。現在では効率化のためインクジェットプリンターに取って代わられ、ほぼ絶滅状態になっている。(これぞ英国、ホンモノの味「リングヂャケットナポリ」のタイ/今、欲しいモノの話。 | MEN'S EX ONLINE |より引用)
なかなかクセの強いデザインだが、筆者がL.U.C XP青に合わせるなら、ブルー(ミントグリーン)とブラウンでシックにまとめられた上のようなタイをチョイスする。
そして「ブルーカシミアのフランネルスーツ」は、こんな感じ?
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本当はもっと明るいブルーが良かったが(楽天に見当たらず)。ジャケットはともかく質感が良いものに限る。
上の写真ではダイヤルのブルーがまた一段と明るく変化。
そして、ストラップにも注目したい。この時計は、二本のストラップが付属してくるのも嬉しい。
一本は、冒頭の二つの写真のとおり、表面がブルーファブリックで、内側がアリゲーター革で仕立てられたもの。表面にファブリック素材を取り入れた結果、クラシックなものとは「一味違う」ストラップになっているわけだ。一方、裏側にはアリゲーター革が用いられている。ストラップがファブリック素材オンリーだとスポーティ過ぎただろうが、ここはしっかりバランスが計算されている。まさに「モダンクラシックスタイル」が表現されている。L.U.C XP青がコンセプトどおりに引き立つ。非常によく考えられたストラップではないだろうか。
もう一本は、上記の写真のとおり表面もアリゲーター革を使用している。ハズシはファブリックストラップで、クラシカルな装いにはアリゲーターストラップで。
ブルーダイヤルと、ブラウンストラップ。個人的にはこの二色のコンビネーション(アズーロ・エ・マローネ)は好きな組み合わせだ。しかし、ブルーとブラウンといっても様々な色味があって、抽象的にブルーとブラウンなら必ず合うとも言えない。ブルーとブラウンの色味をマッチさせる必要がある。
そういう観点から本作のストラップ(ブラウン)を見てみたい。
まずダイヤルの色はネイビーブルーというだけあって、ネイビーなのか、ブルーなのか、明るいようで、暗いようで、表現するのが難しい複雑なブルーである。
これに合わせるブラウンを選ぶのは簡単ではないはずだが、ショパールは濃すぎず、薄すぎない最適なブラウンをチョイスした。しかもアリゲーターストラップをよく見ると、やや暗いブラウンの部分と、やや明るいブラウンの部分が、違和感なく織り交ざっている。ダイヤルのブルーの特徴を、ストラップの色遣いにも上手く落とし込んで、違和感なくまとめあげたセンス。お見事!
あと、レビューは省略したが、L.U.C 96.53-Lというムーブメントも良い機械である。
重要な着け心地については、40mmのサイズ感はよく、軽く、薄い。理想的なドレスウオッチの装着感だ。
二針というのもシンプルでいい。クラシックな二針ドレスの装い。バーインデックスだけだと印象が硬くなるが、3、6、9、12にアラビアンインデックスを組み合わせたことで文字盤に適度な抜け感も出ている。
以上、L.U.C XP ブルーダイヤル(Ref.168592-3002)をレビューしてきたが、いかがだったか。
ネットや雑誌でイメージできる本作のダイヤルは100万円の割に「安っぽく」見える感じがしないでもなかったが、実物は価格相応の完全なる高級時計であった。トータルの完成度が高くて驚かされた。
純粋なクラシックスタイルのみを一途に追求する人には響かないが、伝統の型を押さえつつ「センスの良い違い」を出したい人には本当にうってつけだとおもわれる。
このような絶妙なドレスウオッチは筆者が知る限り少ない。ショパールらしさ全開の一本。
筆者の次に欲しい時計リストに加わった。