筆者は仕事柄人と接する機会が多い。
そしてまた仕事柄、相手の腕元を見てしまう。
純粋な興味から「この人はどんな時計をしているのだろう」と気になる。
(決して値踏みをする意図ではないことを断っておく)
時計が良く似合っている人は好印象だ。
しかし、時計がその人に似合っているかどうかは、どうやって判断しているのだろうか。
おそらく、雰囲気(漠然としているが)、年齢、職種などがポイントだろう。
ある人は、建設業で、年配で貫禄と勢いがある感じの人だったが、その人はロレックスのデイトナ、またある日はウブロのビッグバンをしていた。この人の雰囲気にはよく似合っていた。
またある人は、若くして飲食業などで成功しているが、フランクミュラーの確かロングアイランドをしていた。この人は時計以外の物(スーツ、ネクタイ、財布等)もいつもお洒落で、フランクミュラーの時計はそれらとマッチしてよく似合っていた。
またある人は、これまた若くして不動産業で成功しているが、ブライトリングのナビタイマーをしていた。これも若くて勢いがある雰囲気とよく似合っていた。
たとえばジェントルマンが質素なドレスウオッチをしていたら余裕が感じられ格好良いと思う。
ここまでは「その時計がその人に似合っているか」という話だ。
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雲上ブランドなど最上級の格式を備える時計では逆に「その人がその時計に相応しいか」という話もある。
ある人は、詳細は措くが、比較的若いのに、世界5大ブランドに数えられる高級ブランドの落ち着いた18kゴールド製の腕時計をしていた。
しかし、ネクタイがきちっと締まっていなくて、筆者には少しだらしないように見えた。
座り方も椅子に踏ん反り返るようだった。
筆者は若くても5大ブランドのチョイスや18kゴールドのチョイスは全然アリだと思う派だが、装いや態度がジェントルマンではなかった。
せっかく良い時計を選んでいるのに残念だ。
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筆者は身に着ける物を買う際、予算が多少オーバーしても「良い物」を買うようにしている。
良い物には「良い」理由があるから、買う前になるべく勉強したいものだ。
腕時計で言えば、ブランドの歴史、作り手の想い、どんな素材と手間をかけて作っているかなどの情報だ。
靴、鞄、時計といったアイテムでは、良い物を買え、と言われることがある。
これは自分への「投資」という意味だ。
自分への「ご褒美」ではない。
その投資の目的はリセールバリューなどという経済的なことではない。
良い物を身に着ければ、それに相応しい人間のように振る舞う。
紳士なオトコになりたいなら、紳士の腕時計を身に着ければよい。
いずれ紳士のような装いや振舞いが習慣になり、本物のジェントルマンになれるだろう。