機械式腕時計を買おうと探している方に向けて、当店が厳選した機械式腕時計をご紹介します。
今回は、以下の条件で考えます。
- 予算50万円
- コンプレックス×ドレス
- カリビアンカルチャーを体現したい
Cuervo y Sobrinos 1519 | Watches-Historiador Swiss Manufacture, Latin Heritage
クエルボ・イ・ソブリノス CUERVO Y SOBRINOS
ヒストリアドール HISTORIADOR
1519
Ref.3196.1BL
クエルボ・イ・ソブリノスは、ハバナ/キューバ発祥のブランドです。
キューバは、1429年にクリストファー・コロンブスの第一航海により発見され、16世紀にはスペインの植民地とされ、1902年からは事実上アメリカによる支配下となり、1959年に革命が起きて社会主義国となりました。
(N・I様撮影於キューバ)
キューバといえばカリブの真珠と称される美しい海とスペイン統治下に反映したオールド・ハバナの街並みが人気です。
https://tabinaka.co.jp/tour/5880
クエルボ・イ・ソブリノスの始まりは、ラモン・イ・クエルボが1882年に創業した「LA Casa」という貴金属店です。
その後、甥たちが「LA Casa」を手伝うようになり、「クエルボとその甥たち」=クエルボ・イ・ソブリノスというブランド名になりました。
クエルボ・イ・ソブリノスは着実に評判を高めていき、19世紀末には「著名人ならばハバナに行った際に訪れるべき店」というステータスを得るまでになりました。
ヘミングウェイやチャーチル、アインシュタインといった大物を顧客に抱えていたとの記録が残っています。
クエルボ・イ・ソブリノスのブランドステータスは高みを極め、世界最高峰の時計ブランドであるパテック・フィリップや、時計の王様ロレックスといった名だたるブランドとの「ダブル・ネーム」ウオッチをつくっています。
ロレックス 憧れのダブルネーム の起源と種類 後編 その1 | The Watcher in the Rye
クエルボ・イ・ソブリノスはその後、パリ、ドイツ、スイスに店舗を拡大するも、1959年のキューバ革命を機に、約40年もの長い間表舞台から姿を消しました。
しかし、1997年、オールドウォッチと腕時計製造の歴史を専門とするルカ・ムズメキ(Luca Musumeci)がクエルボ・イ・ソブリノスのブランドを取得しました。
彼は旧店舗の地下室にあったトランクの中からムーブメントやスケッチといった資料を発見し、読み解くうちに、改めてクエルボ・イ・ソブリノスを再興させたいという思いに駆られ、2002年に再スタートを果たしました。
クエルボ・イ・ソブリノスのブランド哲学は「ゆっくりと流れる時が豊かで穏やかなライフスタイルを生み出す」というもので、そこにブランドの起源であるカリビアンテイストからインスピレーションされた、他のブランドにはない独自の魅力ある時計を生み出しています。
さて、ご紹介の「ヒストリアドール」は、遠い昔の優雅な時をイメージしたラインナップで、「1519」はハバナ市政500周年(1519~2019年)を記念して製作された2019年の新作・限定モデルです。
まず、ケースはSS(ステンレススチール)製で、大きさは40mmと丁度良いです。
風防は高級機で使用されるサファイアクリスタルなので擦り傷にも強く安心です。
カリブの海を想起させるメリハリのあるブルー文字盤に、ゴールド風のバーインデックスのコントラストが絶妙です。
文字盤中央には、色味が異なるもう一つの盤があり、これはユニバーサルアワー表示ディスクとなっています。
アールデコにインスパイアされたギヨシェ装飾が施されており、アワーディスク上の金色の鍵はキューバの国旗紋章の一部で、24時間表示のインジケーターとなっています。
針は「ブレゲ針」、「バトン型」のセントラルセコンド針となっており、クラシック感が漂います。
6時位置には日付表示、そしてハバナ市政500周年記念モデルということで、スペイン語で「500 ANIVERSARIO HABANA」とあります。
ベルトはアリゲーター革が用いられています。
ブルー×レッド×ゴールドの色使いも含めたトータルデザインの完成度が高いです。
裏蓋はシースルーバックとなっており、時計の中身(ムーブメント)を鑑賞することができます(※ご紹介のモデルの裏蓋画像はなく別のモデルの画像ですが、おそらくこんな感じです)。
ムーブメントは、ETA 2893-1(もしくはもしくは SW330ベース)ベースで、自動巻きです。
ローターにはロゴマークの彫刻装飾がされています。
防水は3気圧と頼りなく(ただしドレスウォッチならこの程度が一般)、パワーリザーブが38時間と短いなど、実用面で若干のマイナスポイントがあることは否めません。
クエルボ・イ・ソブリノスのブランドヒストリーを味わいながら、この「1519」を改めて見ると、ハバナの風が薫るような(行ったことはありませんが)、カリビアンライフといった「自由」で「何にも縛られない」というコンセプトがうまく体現されていると思います。
実際にハバナに行ったことがある方や、今後行きたい方、自由な生き方をしたい方にはこのブランドの良さがお分かりいただけると思います。