機械式腕時計を買おうと探している方に向けて、当店が厳選した機械式腕時計をご紹介します。
今回は、以下の条件で考えます。
- 予算100万円
- シンプル×ドレス
- 質実剛健
ヴェンペ WEMPE
クロノメーターヴェルケ CHRONOMETERWERKE
オートマティック AUTOMATIK
価格は102万円(税抜)
1878年創業、高級時計を取り扱うドイツの時計商を母体にもつヴェンペは、高級時計のメンテナンスを通して蓄積された知見・経験と技術を活かして、1999年から自社で腕時計をつくっているドイツのブランドです。
さて、2019年現在、時計と言えば、まだまだスイス産がブランド力もあり大きなシェアを占めている状況ですが、ドイツも徐々に力を付けて、スイスの牙城に切り込んでいるところです。
そもそも、ドイツと言えば、「手に職をつける」ための技術教育(いわゆるマイスター制度)が昔から充実していていました。
また、デザインを科学するという発想でデザインを研究する学校(有名な所ではバウハウス)を作ったりもしました。
こういった国柄、下地のもとで、世界中で人気のある自動車メーカー(メルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェ等)を擁する自動車工業をはじめ、鉄鋼、機械、化学、電気機器、建設とった各種工業分野が発展しています。
一方、時計産業については、第一次世界大戦前までは、ザクセン/グラスヒュッテを中心に時計産業が盛んな時期もありましたが、二度の大戦や東西ドイツ分裂などの逆境の中で衰退の途を辿ることになりました。
しかし、東西ドイツ統一とA.ランゲ&ゾーネの復活を皮切りに、ドイツ時計は再びアツくなっています。
ドイツは工業国として極めて先端を行っており、時計製造においてもそのポテンシャルは充分すぎるほど秘めており、遠からずスイス時計が飽きられる頃には、「ドイツ時計の時代」が到来することでしょう。
では、スイス時計にはない、ドイツ時計の魅力とは何か。
端的に表せば「質実剛健な時計」。
すなわち「機能的かつシンプルなデザイン」と「細部まで徹底的に作り込む職人魂」が織りなすマリアージュが、ドイツ時計の最大の魅力でしょう。
その魅力が最大に表れているモデルの一つが、クロノメーターヴェルケです。
まず文字盤の表情ですが、バーインデックスがシンプルで良いです。
印字されている字体はドイツっぽくてカッコよいですし、位置や大きさも絶妙です。
このままだとデザインがガチガチになりそうなものですが、そこにリーフ針を与えてさりげなく表情を和らげています。
ベゼル沿いの「レイルウエイ」目盛り(線路のように見えることから)は、全体の表情をぎゅっと引き締めており、トータル的には素晴らしく洗練されていると言えます。
ベゼル~ケースの仕上げももちろん丁寧にされており、ステンレススチールですが高級感が漂います。
大きさは41mmと大きすぎず小さすぎず丁度良いです。
裏蓋はシースルーバックとなっていて、時計の中身(ムーブメント)を鑑賞することができます。
自動巻きローターにはお馴染みのコート・ド・ジュネーブ装飾(波状の模様)が美しく、中心に向けて筋目加工も施されています。
このローターは、タングステンという超合金でできており、比重の重い貴金属のため巻き上げ効率が良くなります。
巻き上げ効率も良いうえにパワーリザーブは92時間もあり、実用性も優れています。
テンプ受け(画像の下に見える丸い金色の輪を留めている部品)も細かく彫られており、細部まで行き届いています。
ドイツクロノメーター検定を取得しており精度も問題ありません。
ヴェンペは日本での取り扱い店舗が極めて限られており、なかなか流通していませんので、日本国内では希少性が高いものです。
グランドセイコーやジャガールクルトのマスターなどを好む方には、ヴェンペという選択肢も検討されてはどうかと思います。