ドイツ製品と言えば精密、頑丈、機能的、実用的、質実剛健です。
さて、「見えない部分」にこそ全力を注ぐのがプロフェッショナルだという価値観を持つ人にオススメの時計をご紹介します。
私が試着した時計がこれです。
ヴェンぺ
ツァイトマイスター トリプルカレンダー ムーンフェイズ
高級時計を取り扱うドイツの時計商が母体です。
スイス時計の高額化に疑問を感じ、また、メンテナンス部門で他社製品の弱点を見てきた経験を活かして自社製品の生産を始めました。
ツァイトマイスターとは、クロノメーターを意味します。
クロノメーターとは、公的機関により検査され、国際的に定められた検定基準をクリアした高精度の腕時計をいいます。
トリプルカレンダーとは、月・日・曜日を表示する機能です。
文字盤の上方にある2つの窓で曜日・月を表示します。
先端が赤い三日月型の針により、1~31の円形に並べられた数字を指して、日付を表示します。
ムーンフェイズとは、月が約29日半かけて地球を1周する法則に基づき計算された歯車により、その日の空に見える月の形を表現する機能です。
時計の中身(ムーブメント)は、専門メーカーのETA2892-A2という量産機ですが、屈指の時計商でもあるヴェンぺは、その中でもトップグレードを仕入れることができます。
ここからがすごいところです。
仕入れたムーブメントは、一旦、全部分解されます。
精度を調整する部品は、エタクロンから、トリオビスという高級品に付け替えられます。
耐震装置は、インカブロックから、キフショックという高級品に付け替えられます。
精度は、クロノメーター級までチューニングされます。
裏蓋には、グラスヒュッテ天文台の絵とブランド名が見えます。
こういう紋様は、薬品を用いて溶かして作ればコスト削減になります。
しかし、このモデルの裏蓋の絵はプレス加工され、ブランド名は彫り込まれています。
これだけこだわりつつも、価格は約40万円です。
当否は措くとして、スイスの高級時計の中には、表面だけ綺麗にして、見えない部分で手を抜いているものがあるのが事実です。
しかし、このモデルは「見えない部分」まで「実直」です。
このような仕事こそプロフェッショナルだと考える人が所有すれば大きな満足感を得られます。