はじめに
2021年でセイコーは創業140周年を迎えた。
140年もの間、途切れることなく時計を作り続けてきた事実を称えずにはいられない。
というわけで、2021年10月8日に発売された「1959 初代アルピニスト現代デザイン セイコー創業140周年記念限定モデル セイコープロスペックス SBDC151」を購入したので本記事を書く。
銀座通り石畳ダイヤルと38mm径という筆者の好みのサイズに惹きつけられ、発売日の2~3週間前に予約を入れておいた。
本作は3,500本の限定モデル。
YouTubeの開封動画もご覧いただきたい。
本記事の目次
アルピニストとは?
アルピニストはセイコーのプロスペックスというシリーズの中に位置づけられている。【SEIKO】セイコープロスペックス SBDC101 / SPB143を試着レビュー - しろくま腕時計紹介店で整理した。
アルピニスト(alpinist)の語意は登山家。
「1959年に誕生したセイコー初のスポーツウオッチ『ローレル アルピニスト』をルーツに持つ、トレッキングや登山向きのクラシカルスポーツウオッチ」と説明されている(SEIKO公式サイトより)。
(左からシャンパン:SBDC145、黒:SBDC147、緑:SBDC149)
上記三本は本作のシリーズのレギュラーモデルなのでこれらは店頭で買える。
詳細はアルピニスト(Alpinist) | Prospex(プロスペックス) | ブランド | セイコーウオッチへ。
140周年記念モデル(第1~3弾)のおさらい
2021年10月14日現在、140周年記念モデルは「第3弾」までリリースされている。
第1弾から第3弾までを簡単に整理しておきたい。
第1弾
左から
プレザージュ:暗い夜の空に朝日が差し始める時間を指す「暁」(2021年2月19日発売)
プロスペックス:豊かな海を育む西表島に広がる深緑の情景(同年3月6日発売)
アストロン:神秘的な美しさを称える夜桜(同年2月19日発売)
新たな幕開け、日本の春や緑といったテーマでまとめることができそうだ。
第2弾
左からアストロン、プロスペックス、プレザージュ、セイコー5
雲の切れ間から差し込む美しい光芒をイメージ
夏らしいシリーズとなっている。
発売は2021年5月28日(プレザージュのみ2021年7月23日)
筆者はプロスペックスを購入。
(左は第2弾のSBDC139:【SEIKO】セイコー プロスペックス SBDC139(海外版SPB213 j1)購入レビュー - しろくま腕時計紹介店)
第3弾
左からアストロン、プロスペックス、プレザージュ、ルキア
伝統と革新、進取の気性に富む唯一無二の街「銀座」の持つ魅力をイメージ
発売日はいずれも2021年10月8日
第4弾?
気になるのが第4弾の有無。
第1弾の発売時期は2~3月、第2弾は5~7月、そして第3弾は10月であり、ここまで複数回に分けて小出しにしている。
リリースのタイミングは四季と重ねているように見える。
また第1弾の際と比べて、140周年アニバーサリーはファン(潜在ファンも含め)に既に広く知れ渡っている。事実、時計メディアでもセイコー140周年記念モデルは第2弾、第3弾と進むにつれて広く取り上げられているし、第3弾では本作のように予約段階でほぼ完売したものもある。
来る季節は冬でクリスマスや年末年始がやってくる。各社コロナの損失を取り戻すべく例年以上に年末商戦に向けて息巻いているはず。
そうすると、今冬に140周年アニバーサリーのフィナーレ、そして次の150年に向けた意気込みも込めた「第4弾」の発表があるのではないかと期待せざるを得ない。
(追記 出ませんでした残念!)
SBDC151の特徴とスペック
特徴
現代の銀座を表現したダイヤルデザイン
ダイヤルには、日本初の西洋式ストリートである銀座中央通りの石畳を表現し、現在、立ち並ぶガラス張りのビルをイメージした、ブルーグレーのカラーを採用。
伝統を大切にしつつも、現代的に変わり続ける銀座の街並みの雰囲気を表現しています。
本作のテーマとなった「銀座」はセイコーと強く結び付きのある創業地であり、周年記念モデルのテーマとしてはかなり魅力的であるといえる。
銀座を「伝統を重んじながらも革新に取り組んできた、 進取の気性に富む唯一無二の街」と捉えた。
街を構成する様々な要素の中から「石畳」という分かりやすい要素でダイヤルを形作った。
都会らしいガラス張りのビルの窓が放つブルーグレーをダイヤルカラーに選んでいるのもうまい。
明治末期に最もハイカラな色の一つであった 緑色を帯びた柔らかな金春色(こんぱるいろ)を銀座を象徴する色と位置付けた。
それを針の色として採用した。テーマに沿った意味のあるアクセント(差し色)も抜け目がない。
創業の地である銀座を題材にしたテーマを造形や色を通して見事なまでに具現化している。
ここまで巧みな腕時計を見たことがあるだろうか?
筆者はない。
スペック
防水 20気圧
ケースサイズ
厚さ:12.9 mm
直径:38 mm
長さ:46.2 mm
重量:146.0g
キャリバー6R35 メカニカル自動巻
精度 日差+25秒~-15秒
駆動期間 最大巻上時約70時間持続
3,500個限定
定価 82,500円 (税込)
実機を手に取った感想と使用レビュー
ダイヤルの見え方
セイコーが公式ウェブサイトに掲載している商品画像からは本来の魅力が伝わってこないため、本作の実物に不安はあったが、テーマとデザインだけでも購入意思は十分固まったので発売の2~3週間前に予約を入れておいた。
発売当日、店に受け取りに行き、実物が目の前に出てきた。「素晴らしい!」と心の中で呟いたのはいうまでもない。
商品画像で一番分からなかったのがダイヤルの色合いだったが、実物は想像以上に良かった。
爽快なブルーダイヤルは今やどのブランドでも見慣れたもの。
しかし「ブルーグレー」、つまりグレーがかったブルーという何ともファジーな色あいは個性的で魅了される。
針の金春色と相まって「ハイカラな銀座」というイメージが巧みに表現されている。
ダイヤルはサンレイ仕上げになっていて、中心から外に広がるように光を反射させていく。
石畳は明るめに反射する区画と暗めに反射する区画とで構成されており、実際の石畳のような立体感が出ている。
要するに、これを考案した担当者は超優秀ということだろう。
予約段階でほぼ完売になったのも頷ける。
ところで、着用時にユニークなダイヤルが目立つのではないかと気になる方もいるだろう。
実験したが時計から1mも離れれば石畳の装飾はほとんど分からず、落ち着いた雰囲気のシンプルなブルーグレーダイヤルの時計にしか見えない。
つまり、着用者は手元で個性的なダイヤルを楽しめて、少し離れた他者には落ち着いたブルーグレーのシンプルなダイヤルに見せてくれるという優れものというわけだ。
いろいろな服装に合わせやすく、ジャケットシーンを含めて日常使いをしても違和感はないだろう。
サイズと着用感
ケースはレギュラーモデル(SBDC145、SBDC147およびSBDC149)と同じ。
プロスペックスといえばダイバーズをイメージするが、これはアルピニストということで、ダイバーズのつくりとは違う。
本作アルピニストの良いところは何と言っても直径が38mmである点。そしてラグ端からラグ端までは46.2mmということもあり、筆者の腕(17.5-18cm)にしっかり収まってくれた。
ケース厚は12.9mmなので若干厚みを感じるが、手首で浮く感じはしない。
サイズ感にうるさい筆者的でも十分許容範囲だった。
収まりが良いサイズはカジュアル/ビジネスの両方で活躍してくれる。
おわりに
以上、セイコー プロスペックス アルピニスト SBD151について紹介してきた。
第3弾は創業を称えるアニバーサリーモデルに相応しい内容だった。
特にテーマとデザインの作り込みが実に見事だった。
個人的には今年見てきた様々な新作時計の中で一番の作品。
参考ウェブサイト
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Introducing: セイコー プロスペックスを含む4ブランドから創業140周年記念限定モデル第3弾が登場 2021年新作 - HODINKEE Japan (ホディンキー 日本版)
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Hands-On: セイコー プロスペックス 1959 アルピニスト 現代デザイン 140周年限定モデル SBDC151 - HODINKEE Japan (ホディンキー 日本版)
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セイコー 金春色があしらわれたデイリーウォッチを手に思い巡らす銀座歴史トリップ - HODINKEE Japan (ホディンキー 日本版)
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創業の地、銀座の魅力を表現した、セイコー創業140 周年記念限定モデル4 種 | 高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos]