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ラグスポ新作が止まらない;「ケース・ラグ・ブレスレット」の関係を振り返る

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時計好きならご存じの「ラグジュアリースポーツ」通称「ラグスポ」。

そして時計好きなら既にご存じかとおもうが、フレデリックコンスタントとチューダーからラグスポと言ってよい新作がリリースされた。

まずはフレデリックコンスタントから。

基本スペック(フレデリックコンスタント公式HPより引用)

FC-303N4NH6B (CENTER)

自動巻き〔FC-303〕、日付、ケース径41mm、ケース厚10.84mm、5気圧防水、ステンレススチール、インターチェンジャブル仕様ラバーストラップ付、COS認定証付

235,000yen+tax

こちらはアクアノートからインスパイアされたと思しきモデルだが、アンダー30万円であり、モーリスラクロアのアイコンとは良いライバルになるだろう。

フレデリックコンスタントからもう一本。

基本スペック(フレデリックコンスタント公式HPより引用)

FC-775N4NH6B (RIGHT)

自動巻き〔自社ムーブメント FC-775〕、パーペチュアルカレンダー、ムーンフェイズ、ケース径41mm、ケース厚12.65mm、5気圧防水、ステンレススチール、インターチェンジャブル仕様ラバーストラップ付

1,080,000yen+tax

これはパーペチュアルカレンダーという複雑機構が搭載されているから高額になっているが、他のブランドと比較すれば非常に良心的な価格といえ、フレデリックコンスタントらしい一本。

次にチューダー。

 
 
 
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Introducing Tudor Royal, the new #TudorWatch sports watch line with signature notched bezel and integrated bracelet design. #BornToDare #TudorRoyal

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基本スペック(チューダー公式HPより抜粋)

直径 41mm

パワーリザーブ約38時間

100 m(330フィート)防水

価格 250,800円

古いロレックスのオイスタークオーツを想起させるブレスレットに、デイデイト機能を備えた一本。

こちらもアンダー30万円ということで、フレデリックコンスタントやモーリスラクロアと競合してくる。

 

さて、今更だが、ラグスポの大きな特徴は「ケース」と「一体化」した「ブレスレット」。拙稿「特集【ラグジュアリースポーツ】パテックフィリップ・ノーチラス、オーデマピゲ・ロイヤルオークほか - しろくま腕時計紹介店」でも述べたとおり、時計界のピカソことジェラルド=ジェンタが発案したデザインコードだ。ラグスポの第一号が言わずと知れた「ロイヤルオーク」。

 
 
 
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A timeless shape in full stainless steel with a silver-toned dial. Meet the latest Royal Oak Selfwinding 41mm. An instant classic. #AudemarsPiguet #RoyalOak #Selfwinding

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ロイヤルオークの爆発的需要がもたらした「ラグスポ人気」は未だに止まるところを知らないが、そんな今、「ケース」と「ブレスレット」が「一体化」するに至る流れを押さえておくことには意味があるとおもう。

 

まず、機械式腕時計の誕生から数世紀を経て誕生したのが懐中時計。 次いで(主に社交界のミセスたちの間で)懐中時計に金具を取り付けベルトを通して腕に巻くというアイデアが起こる。その後、アクティブな活動にも寄り添う時計が求められるようになり、カルティエが「ケース」と「ラグ」を一体化させ、腕との一体感を高めるしっかりした幅のストラップを備えた本格的な腕時計(サントス)を世界で初めて製造。これが腕時計という定義のスタンダードとなる。

 
 
 
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Sleek lines. #SantosdeCartier #BoldandFearless

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その後、腕時計の造形は、基本的に初期サントスから始まった「ケース」と「ラグ」の一体性を基本としつつ、ロレックスなどがラグとケースの形状を発展させてきた。その流れの延長に位置づけられるのが、ジェラルド=ジェンタがデザインしたとされる通称「Cライン」と呼ばれるオメガのコンテレーション。

「ケース」と「ラグ」が丸くスムースな形状をしているのが分かる。ちなみに、正面からの写真では分からないがケース上面も緩やかに丸く加工されており、全体的に丸々っとした造形になっている。

多くの時計ブランドはその後、この通称Cラインというデザインコードを用いて時計のケースを造るようになった。

その延長と言うべきか、これに対してと言うべきかはさておき、「ブレスレット」と「ケース」から、「ラグ」という「繋ぎ役」を省略して、一体化させてみると言う観点からのアプローチが生まれる。これがジェラルド=ジェンタが手掛けたロイヤルオークで現れた。野暮ったくならないようベゼルやケースに立体感も与えられた。

こうして「ケース」と「ブレスレット」を一体化させたうえで、立体的な造形を行うというアイデアが一つの型として誕生した。

昨今のラグスポ人気を理解するうえで少しでも参考になれば幸いだ。

なお、ケース・ラグ・ブレスレットの関係の発展という壮大なテーマについて、色々と端折って説明したので、多少誤解が生じる所があるかもしれないが、ざっくりとした流れを確認しておくという意味でご容赦願いたい。

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