時計屋放浪の旅で出会った時計を紹介しよう。
価格93万5000 円(税込)
スペック(グランドセイコー公式HPより抜粋)
外装 : ステンレス 裏ぶた:ステンレスとサファイアガラス
ガラス材質 : デュアルカーブサファイア
コーティング : 内面無反射コーティング
ケースサイズ : 横 39mm × 厚さ 11.6mm
ムーブメント : 9S63 取扱説明書
駆動方式 : メカニカル 手巻
駆動時間 : 最大巻上時約72時間(約3日間)持続
精度 : 静的精度:平均日差+5秒~-3秒
防水 : 日常生活用防水
重さ : 124.0 g
その他 :
・シースルーバック
・小秒針つき
・秒針停止機能
・パワーリザーブ表示機能
・裏ぶた獅子の紋章つき
文字盤の9時位置にあるのはスモールセコンド(秒針)で、3時位置にあるのがパワーリザーブ(残駆動時間表示)だ。
パワーリザーブが(デザイン上)必要だったかどうかは、賛否が分かれるだろう。
本作が手巻き式である(パワーリザーブを気にしなければならない)ことを踏まえると、実用時計をつくるグランドセイコーとしてはパワーリザーブを設計するという選択は理解できる。
ダイヤルはグレー。
ブティックの照明のせいで正確な色合いが伝わりにくいが。
柔らかい黒、濃い目のグレー。
ロゴは「GS」と「Grand Seiko」だけ。
6位置に「AUTOMATIC」などと書いてみたり、下手な差し色を入れたりせず、シンプルなデザインにまとめあげている。
4時側の角度からのアングル。
まず風防について。
写真では伝わりにくいが、風防(ガラス)は昔のプラスチック風防のように丸みを帯びたドーム状になっている。
もちろん、グランドセイコーの風防はサファイアでできているから、耐傷性は強い。
エレガンスコレクションである本作は、風防だけでなく全体的に滑らかな丸みが与えられており、グランドセイコーの中では比較的やさしい、やわらかい印象を感じる。
とはいえ、「シャープ」で「重厚感」のあるドフィーヌ針とアプライドインデックスは健在。
これがグランドセイコーのDNA。
あと、かなり細かいポイント。
ダイヤルの時・分目盛りに注目。
時の目盛りと、分の目盛りの外周側の先端ラインが綺麗に揃っており、かつ、時の目盛りの部分には分の目盛りが印字されていない。
これに対して、時の目盛りをやや内側に入れ、分目盛りが時の目盛りの外側にも印字されているものもある。しかし個人的には若干ぶついた印象を受ける。
(例)分目盛りと時目盛りが並列している。
完全に好みの問題。
そして、このSBGK009の見どころは目を引く「9連ブレスレッド」だ。
多連ブレスは一歩間違えばジジクサい印象になりそうだ。
もちろん本作のブレスレッドも賛否あるだろう。
筆者としては、SBGK009の9連ブレスは全然ジジクサく感じない。
いずれにせよ、このブレスレッドについてどう思うかが、買う/買わないの分水嶺になるだろう。
9連ブレスの9連の内5連がポリッシュ仕上げ(ピカピカ)、4連がサテン仕上げ(筋目模様)になっている。
この一工夫が絶妙だと思うが、仕上げのレベルの高さは疑う余地がなく、SBGK009は、質素感とラグジュアリー感の両立に成功している(言い換えれば理想的なドレスウオッチの要素を備えている)。
SBGK009のブレスレッドは、非常に細やかに組み上げられており、外観上も見応えがあるのだが、しなやかに腕にフィットしてくれるのも見逃せないポイントだ。
ちなみに重量も124グラムと丁度よい。
軽すぎず、重すぎず。
ちなみに、グランドセイコー・エレガンスコレクションの中には、SBGK007というモデルも存在する。
拙稿「【グランドセイコー】SBGK007を購入!感想を取材(N・I様)」参照
拙稿「腕時計のすすめ【グランドセイコー】Elegance Collection SBGK007」参照
SBGK007とSBGK009は、文字盤の色が違うのと、ブレスレッドか革ベルトかの違いはあるが、スペックは同じ。
ただし、ベルトの違いで価格差は当然ある(SBGK007 は税込82万5000円、SBGK009は税込93万5000円で、その差11万円)。
9連ブレスレッドに特にこだわりがなければ、革ベルトタイプのSBGK007の方をチョイスする方がコスパがよいだろう。
なお、9連ブレスの方もブレスレッドを取り外して革ベルトに換えることも可能である。
SBGK009 | COLLECTIONS | グランドセイコー公式サイト
SBGK009はシースルーバック仕様になっている。
グランドセイコーらしい、はっきりしたコート・ド・ジュネーブ装飾が施されている。
最後の仕上げは職人が手作業で行っているが、波は規則正しく、均一に、歪みもない。
筆者は色々な腕時計を見てきた。
今回紹介したグランドセイコーのSBGK009は、実際に着けるとデザイン・着け心地とも優れており、筆者が次に買いたい腕時計の候補になった。
気になる人は一度試着してみてはいかが?