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「分不相応なものを長く使う」時計選びのプロが考える美学

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筆者は2~3年前チャーチと言うイギリス製の革靴を買った。

 

いまも愛用している。

 

購入当時に革靴の知識はほとんどなかった。

 

チャーチは高価で若造にとっては分不相応なものだということは分かったが、

 

購入の動機はずっしりと重く頑丈そうというポイントだった。

 

重い割には意外に履きやすい、、、と思ったのも最初だけ。

 

何十分か歩いたら、かかとや小指の側面などが痛い。

 

いつもの速度では歩けないレベルで痛い。

 

かかとに絆創膏、スニーカーソックスの上にビジネスソックスを重ねて履いて、靴を履いた。

 

いまではソックス1枚で履けるようになった。

 

最近ではどんどん自分の足にフィットしているように感じる。

 

月一回程度の靴磨きを続けていく内に革がいい感じになっていくのも分かる。

 

・・・・・

 

そういえば同じようなことが昔あった。高校野球をやっていた時のこと。

 

筆者が入学時最初に手にしたのは「ミズノプロ」というグローブ。

 

 

(昔は甲の部分のロゴが「m」だった)

 

ミズノプロはプロ野球選手も使うクオリティで最高級品だ。

 

硬式野球で使うグローブは革が厚くて硬い。

 

捕球可能になるまで何度も捕球面に球を当てて革を柔らかくした。

 

自分のプレーができるようになるまでは更に使い込む必要があった。

 

ダイビングキャッチなどすれば傷もついた。

 

部活が終わった後は疲労と空腹だったが、革の汚れを取ったり、手に馴染ませたりするために、専用のオイルで日々の手入れは欠かさなかった。

 

ミズノプロのグローブは耐久性もよく、高校3年間ずっと使えて驚いた。

 

引退後には後輩に譲って、その後数年は使ってくれたのも嬉しかった。

 

筆者が「自分の道具は大切に手入れしながら長く使う」ということの尊さを学んだ良い経験だった。

 

・・・・・

 

グローブも革靴も、最初はむずかしいが、使い込めば使い込むほど馴染んで味が出て良い感じになる。

 

物を買う前に一歩止まって考えたいのが「使い込める物」かどうかという点だ。

 

それは「しっかりした作り」である必要があるし、さらに「流行り廃りに左右されない」ものでなければならない。

 

そうするとやはり、名のあるメーカーが威信をかけて作っている物、さらにその定番と呼ばれるラインナップのものが良い、と帰結される。

 

そういう物はふつう高価だし、若い人が身に着けるには分不相応な物であることが多い。

 

何でもかんでも分不相応な高級品を買っていたら生活が破綻するが、自分がこれと思うポイントでは、こだわりを持ちたいものだ。

 

男ががんばって稼いだお金は、目的のない貯蓄に回すくらいなら、分不相応な物に使ってこそ、生きた価値がある。

 

(時計の話は、、、また今度)

 


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