最近は物をネットで買うのに慣れてしまって、その傾向は腕時計の購入でもみられる。
ネットで情報を収集することも大事だが、やはり、機械式腕時計の購入前には実物を試着した方がよい。
腕時計の売り場では、通常、腕時計はショーケースに陳列されている。
なので、店員さんに声をかけて取り出してもらう必要があり、少しハードルがある。
しかし、試着に遠慮は要らない。
ショールームでいろいろ確認してから住宅を買うのと同じことだ。
試着といっても、ただ着けるのではなく、見るべきポイントを頭に入れておこう。
見た目の確認
当たり前だが、見た目の確認。
往々にして写真とイメージが違うことがある。
特に、メーカーがHPでアップしている写真は、どれも見栄えがいいように写している。
悪い意味でも期待を裏切られることが少なくない。
見た目では、やはりケースの質感、加工が美しいかどうか。
それと、ダイヤル(文字盤)。
ダイヤルも、よく見れば装飾や加工が施されている。
着け心地の確認
腕時計は最も動かす部位である手首に巻き付ける道具だ。
着け心地はある程度必要ではないか。
では着け心地とは何か。
手首に何も着けない状態が最も快適である。
腕時計をして布団に入る人はいないだろう。
そうすると「手首に何も着けない状態」と「腕時計を着けた状態」とを比較して、不快要素が少ないもの」ほど、着け心地の良い時計と言える。
言うなれば、着け心地は「減点方式」で採点される。
着け心地のチェック項目
着け心地がよいか、不快でないかどうかを見極めるには、どのポイントを見ればよいか。
腕時計をいくつも試着してきた筆者が整理すると、重要な順に、次のとおりだ。
- 直径
- 厚さ
- 重量
- 形状
- 素材
直径
サイズ感がいいね、という時は、だいたい直径が丁度良いということを言っている。
どのくらいのサイズ感が良いかは、一義的に決まらず、どのようなシーンで着けるかによって答えは変わってくる。
見た目との関係でいえば、ジャケットスタイルでの使用を中心に考えているならば、
ジャケットスタイルの中では、なるべく時計の存在感は低めの方がよいので、サイズ感は大きすぎないほうがよい。
手首をはみ出すくらい大きい時計は、インパクトはあるが、日常づかいということで言えば、ケースの端(上のラグ)から端(下のラグ)までが、時分の手首の幅に、若干の余裕をもって収まるくらいがちょうどよい。
厚さ
基本的に直径と相関関係にある(デカ厚)。
あまりに厚いと、物にぶつけるリスクが高まり、着用時には気を遣わなければならない。
また、服(特にジャケットやコート)を着る際に、時計が引っ掛かって着づらいこともある。
日常づかい用なら、厚みはある程度抑えたほうがよい。
ただ、薄ければよいというものでもなく、薄いあまり手首に貼りつくような感覚は、あまり好きじゃないという人もいる。
パネライなど極端に厚いものから、ピアジェのアルティプラノなど極端に薄い腕時計まで色々あるので、しっくりくるものを選ぼう。
重量
代表的な素材で整理すると、スチール<ゴールド<プラチナとなる。
最近ではスチールより軽い素材(セラミック、チタン、カーボン等)もある。
必ずしも、軽い方が着け心地がよいとは限らない。
筆者もそうだが、腕時計は、ある程度重みがあった方がしっくりくるという人もいる。
ここは実際に着けてみないと分からない。
形状
腕時計というとだいたい形状は決まっているが、物によってはフィット感を高めるためケースが緩やかに湾曲しているものもある。
高級品ではまずないと思うが、角が当たって痛いというのは論外。
リュウズ(腕時計のケースのサイドに出ているつまみ部分)も見てみよう。
手首の角度によってはりゅうずが肌に食い込んでくることがある。
りゅうずが大きいもの(パイロットウオッチなどで見られる)、長いもの(カルティエなどで見られる)などは違和感がないか特に確認しよう。
素材
素材は試着の際に店員さんに確認してきたい。
購入する場合は、金属アレルギーに注意。
筆者もそうだが、ステンレススチールのブレスレッドは、金属アレルギーが起きやすい(特に夏場)。
その場合は、比較的マシなゴールド素材か、チタンといったアレルギーに配慮した素材もある。
まとめ
店舗で試着する際は、おそらく店員さんから「いいですね!」「スーツにもカジュアルにも合いますね!」といった言葉を浴びせられて、ついその気になってしまうもの。
だが、腕時計は高い買い物だ。
店員さんの「ヨイショ」に舞い上がらず、ポイントを押さえて、冷静に、シビアに見てからだ。
本気で一生モノを探している人は、自分なりの点検項目をもって、試着に臨もう。