今回批評するのはジャガールクルトのポラリス・オートマティックREF. 9008180。
ジャガールクルト ポラリス・オートマティック REF. 9008180
価格87万7800円(税込)
スペック
ジャガー・ルクルト製キャリバー : 898E/1
ケース : ステンレススチール, 防水性 : 10 気圧, 直径 : 41mm
機能 : 時、分表示, 回転式ベゼル, 秒
表ダイヤルの針 バゲット型
ムーブメント : 自動巻き, 部品数 : 195, 振動数 : 28800, 石数 : 30, 香箱 : 1
ダイヤル : ブルー, ホワイト夜光数字
ストラップ/ブレスレット ステンレススチール
機械式自動巻、部品数195個、パワーリザーブ40時間
ジャガールクルトだからつくりそのものに文句はない。
残念というか勿体ないと思うのが「顔」。
詳しい人でなければロゴがないとジャガールクルトの腕時計とは言い当てられないのでは。
やはりロゴを隠してもそのブランドの時計だと分かるDNAが外観に不足しているように感じられる。
ジャガールクルトの「マスター」のラインナップはロゴがなくてもジャガールクルトだと認識し得る。鋭いインデックスとシャープなドーフィン針で引き締まったフェイスが特徴だ。
「ポラリス」はどうだろう?
これがポラリスだと言われたら、そうだとしか言いようもない。
しかしポラリスを知らないが、ジャガールクルトを知っているという人にもジャガールクルトの時計と認識してもらえる何らかの要素が外観に必要だろう。
具体的に勿体ないポイントはダイヤルだ。
見てのとおり外側はザラっとした感じ、内側はサラッとした感じを組み合わせている。
色合いは複雑な青が絡み合う海からイメージしたものだろうか。
ヴァシュロンコンスタンタンのオーヴァーシーズなどが取り入れている手法で、筆者は好きな考え方だ。
こういった形で、作り手が表情に工夫を凝らしている努力は理解する。
しかし如何せん、文字盤に相応の高級感・ラグジュアリー感があるとは言い難いのだ。
高価格帯としてそれなりの水準は必要だ。
実機を手に取った人には分かるのではないか、、、
裏蓋はシースルーバック。
ムーブメントがgoodなことは言うまでもない。
総括すれば、抽象的だが、ジャガールクルトにしては「野暮ったい」という言葉が当てはまろう。
ジャガールクルトといえば、レベルソやマスターが真っ先に浮かぶ。
これらに共通するのは控えめで洗練された美ではなかろうか。
ポラリスは「エレガントでスポーティ―」な時計だと謳ってはいる。
しかしどうも前者の要素が足りていないのではないか。
ジャガールクルトのDNAをどう解釈したのか、それをどう落とし込んだのか、このモデルが向かう方向性はどこなのか?
どうしても中途半端な印象だけが残ってしまった。