機械式腕時計を買おうと探している方に向けて、当店が厳選した機械式腕時計をご紹介します。
今回は、以下の条件で考えます。
- 予算40万円
- コンプレックス×ドレス
- 歴史のあるブランド
- ブラックダイヤル
- シックな感じ
ロンジン LONGINES
マスターコレクション MASTER-COLLECTION
クロノグラフ L2.673.4.51.6
ロンジンはオメガと同じスウオッチグループに属しています。
グループ内における位置づけは、最高級ラインの「ラグジュアリーレンジ」(ブレゲ、ブランパン、グラスヒュッテ・オリジナル、ジャケ・ドロー、オメガ、ハリー・ウィンストン)に次ぐ「ハイレンジ」とされています。
ロンジンの前身となる会社は、1832年にスイスのサンティミエという小さな村で設立されました。
1846年以降は米国事業も拡大、1867年にはサンティミエの「細長い野原」(Es Longines)と称される土地に自社工場を建設。
ムーブメント(時計の中身)生産を開始しました。
この時の「キャリバーL20」はパリ万博(1867年)で受賞するなど着々と実力を付けていきます。
また、この頃から現在も使われているロゴ(砂時計×翼)がすべてのムーブメントに刻印されるようになります(このロゴは1889年にスイスで商標登録後、1893年には国際組織にも商標登録され、それが現世界知的所有権機関(WIPO)に引き継がれている最古の時計ブランドとされています)。
1876年のフィラデルフィア万博参加を契機に米国流の機械生産方式にシフトするなど時計製造のオートメーション化のパイオニアとしてスイス時計産業を牽引しました。
1900年のパリ万博ではクロノメータームーブメント搭載モデルでグランプリを受賞するなど時計メーカーとしてかなりの実力を持っていました。
1919年には国際航空連盟から公式認定を受けるなどこの頃から空との関わりも進んでいきます。
1931年には世界初の単独大西洋無着陸横断飛行をしたチャールズ・A・リンドバーグとコラボして、パイロットの経緯度計算ができる「Hour Angle Watch」を開発。
1936年には、時計界では今日でもクロノグラフムーブメントの名機ないし傑作と称される「Cal.13ZN」を自社開発。
Cal.13ZNは手巻きクロノグラフで、フライバック機能も付いて、非常に高い耐久性を備えています。
当時はパテック・フィリップやブレゲでもクロノグラフのムーブメントメーカー(バルジュー、レマニア)のムーブメントをベースにクロノグラフを製造していましたが、その時期にマニュファクチュールとしてクロノグラフを自社製造できていたのはかなりすごいことだったのです。
ロンジンは1960年代にかけてムーブメントの名機を生み出し続けました。
1930~1960年代のロンジンの時計は、「アンティークウオッチ」として時計愛好家、コレクターに人気があり、当時の時計は高値で取引されています。
こんなボロボロの時計が・・・と言ったら失礼ですが、1939年式で、名機であるキャリバー13ZNを積んだモデルで、100万円を優に超える価格になっています。
(↓オールドムーヴメントBookでも取り上げられています)
しかしその後は失速。
1970年代には自社製ムーブメントの製造がストップ。
1975年には開発部門も消滅。
旧ロンジンのマニュファクチュールとしての歴史と伝統はここで事実上終了となりました。
現在のロンジンはマニュファクチュールではなく、スウオッチグループ傘下でETA製の汎用ムーブメントを搭載して時計づくりを行っています。
しかし、それの歴史も含めて「ロンジン」であり、ETAベースのムーブメントだからこそ価格を抑えられています。
「手の届く高級時計」としてスウオッチグループの人気ブランドの一つとして存在感を発揮しています。
さてご紹介のモデルですが、ケースはSS(ステンレススチール)製、大きさは40mmと使い勝手が良いサイズです。
文字盤はブラック、時字はローマ数字とシックにデザインされています。
3時位置には「翼の砂時計」ロゴが構えています。
12時位置にはデイ・デイト表示と30分積算計が、6時位置にはムーンフェイズと12時間積算計が、9時位置には内側にスモールセコンド(秒針)、外側に24時間計が、文字盤外周にはポインターデイトがあり、かなり複雑なつくりになっています。
時分針はリーフ形で、シックな中にも柔らかみが出ています。
文字盤上の情報は多いですが、うまくまとまっていて、イケメンな表情に仕上がっています。
裏蓋はシースルーになっており、ムーブメントを鑑賞することができます。
なお、防水は3気圧(日常生活防水)と頼りないところではあります。
しかし、これだけ機能がついて40万円程度、並行店では30万円弱で購入できるのはかなり魅力です。
文字盤の表情も良いので、ムーブメントが自社製かどうかに拘りがない(実際、下手な自社製ムーブメントよりも、ETAの方が専門ですし長い歴史と経験があるので信頼性も高いです。)という方にはかなりおすすめできます。