今回は、腕時計の「ガラス」の話です。
ガラスは、腕時計の文字盤を覆う素材として使用されるほか、シースルーバック(時計の中の動きが鑑賞できます。)の場合は裏蓋にも使用されます。
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腕時計に使用されるガラス(厳密な専門用語では風防)には、大きく次の3つがあります。
①サファイアクリスタルガラス
②ミネラルガラス
③プラスチックガラス
これらの違いは何に関係してくるかと言うと、要するに「硬さ」です。
重要なことは、ここで言う「硬さ」は、叩いたりぶつけたりしても大丈夫という意味の硬さではなく、引っ掻きに対する耐性だということです。
「硬さ」を測る基準として古くから用いられてきたものとして、鉱物学者のフリードリッヒ・モース氏が提唱した「モース硬さ」があります。
これは、鉱物同士をこすり合わせてどちらに傷が付くかという観点で整理された基準です。
モース硬さは、1~10まであり、10が一番硬いとされます。
モース硬さ10は、金剛石(ダイヤモンド)です。
これに次ぐモース硬さ9は、鋼玉(コランダム)です。
コランダムは、要するにルビーとサファイアのことです。
ルビー(赤)とサファイア(赤以外)は同じ鉱物で、どのような不純物が混ざっているかで色が違うとされます。
サファイアは、ダイヤモンドに次ぐ硬さであり、理論上はダイヤモンド以上の硬いもので引っ掻かない限りは傷が付かないことになります。
私もよく腕時計のガラスを壁に擦ってしまいますが、サファイアクリスタルガラスなので、いまだに傷ついたことはありません。
サファイアクリスタルガラスは、このように硬く、腕時計のガラスにはもってこいの素材ですが、当然ながらコストは相当かかります。
現代の高級ブランド腕時計には、ふつうはサファイアクリスタルガラスが用いられています。
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