「頂点」、「ナンバー1」を目指すというウオッチナリティ―の腕時計をご紹介します。
私が試着した時計がこれです。
ゼニス ZENITH
エル・プリメロ El Primero
1865年創業です。
マニュファクチュール(自社一貫生産)の代表格です。
エスペラント語(欧州主要言語を掛け合わせた人工言語)で、ゼニスは「天頂」の意味です。
クロノグラフ針(文字盤中央の赤い針)の端の星型は、ゼニス=天頂を象ったものです。
エル・プリメロは、「ナンバー1」の意味で、ゼニスがつくる時計の中身(ムーブメント)の一種の名称です。
時計界では非常に有名なムーブメントで「傑作自動巻きクロノグラフ」と称されています。
エル・プリメロ ムーブメント&キャリバー - ゼニス 高級 ウォッチ
36,000振動/時の「ハイビート」が特徴です。
機械式腕時計に耳を近づけると音がしますが、これが振動の音です。
ハイビートは、「チチチ・・・」ととても速く聞こえます。
秒針もツツツ・・・と小刻みに運針します。
一方、ロービートの音は、「チッ、チッ、チッ・・・」とハイビートに比べるとゆっくりに聞こえます。
秒針もスーイ、スーイという感じで運針します。
振動数で一般に多いのは、28,800振動/時です。
振動数とは、一定周期に「てんぷ」という中の部品が振れる回数です。
- 28,800振動/時 → 480振動/分 → 8振動/秒
- 36,000振動/時 → 600振動/分 → 10振動/秒
ハイビートは、精度が安定すると言われていますが、部品の摩耗やオイルの消耗が早くなりがちな欠点があります。
この点、ゼニスのエル・プリメロは、特殊な潤滑油を使用し、耐久性を高めています。
そして、ロレックス・デイトナ(Ref.16520)など他の有名ブランドでも採用された実績があります。
試着したモデルは、エル・プリメロのラインナップの中でも最もオーソドックスなモデルです。
ムーブメントの名前がこれだけ有名なブランドは他にないと思います。
ムーブメントは、外からは見えないという意味で地味・裏方な部分ですが、そこでナンバー1を目指すという渋さが、揺るぎないウオッチナリティ―として確立されています。