腕時計の形には、一般的な丸型のほか、四角型もあります。
四角型の腕時計は、割合としてはかなり少数派です。
時計の針は円を描いて回ります。
その機能から形を導けば、丸型になるのが自然です。
敢えて四角型にするわけですから、その完成度を高めるのは難しいことと思います。
私が試着した時計がこれです。
ジラールペルゴ
ビンテージ1945
1791年創業の老舗です。
スイスの時計産業は、基本的に、パーツごとの分業製造を特徴とします。
特にムーブメントと呼ばれる腕時計を動かす機構(腕時計の中身)はETAなどの専門業者がいて、各社はそこから中身を仕入れて、そのまま自社製品に搭載したり、少しいじって性能をあげたり、自社製品に合うように加工したりして搭載して売っています。
中身の原価が安いのに、腕時計自体は高く売り、大きな利ざやを取っているブランドもあります。ただ、専門業者の作ったムーブメントですので、性能自体は良いです。
数も多く出回っているので、どの時計屋でも修理できたり、パーツが補給できたりしますので使い勝手がよいといえます。
そのスイス時計産業においても、自社一貫生産を謳うブランドも少なからず存在します。
ジラールペルゴはその一つです。
そういうブランドをマニュファクチュールとも言います。
分業制にすればもっと効率があがり利潤も増えるはずですが、そんなことよりも、パーツの一つ一つを職人技で、じっくり納得できるものを作るんだという理念を大切にする。
その思想に共感する人は、そういうマニュファクチュールの時計の方が満足感が高まります。
さて試着したモデルはビンテージ1945といいます。
スケルトンになっていて、中の歯車などの動きが鑑賞できます。
12時位置にある、大きな日付表示、いわゆるビッグデイトがです。インパクトがあります。
6時位置にはスモールセコンド(秒針)があります。
そしてよく見ると、月のデザインが見えます。
いわゆるムーンフェイズです。
月が地球を1周するのに29日と12時間44分2.8要するという法則を踏まえて、歯車の数などを工夫して作られています。
私が機械式腕時計で好きなところは、こういった天文学や数学といった人類の智を身近に感じることができるところです。
ムーンフェイズなどの複雑な機構が組み込まれることで、故障のリスク、オーバーホール時の費用の高騰などのコストが発生します。
しかし、そういったロマン溢れる機械式時計はいいですね。